vol.2 プロジェクトが形になるまで

Update: 2023.01.30
#昆布の森再生プロジェクト

「昆布の森再生プロジェクト」についてお伝えしていく本シリーズ。(前回のvol.1はこちら
Vol.2となる今回の記事は、「どうやってこのプロジェクトが誕生したか」について。天然ガゴメ昆布を再生させようという話には、一体どのような経緯が詰まっているのでしょうか?
プロジェクト主要メンバーの高野、そして普段は商品の販促企画などを行う福井の2人で、当時を振り返りながら話しました。

左:シオノギヘルスケア 福井 / 右:シオノギヘルスケア 高野

なぜ、ガゴメ昆布の再生を?

高野:福井さん、本日はよろしくお願いします!

福井:インタビュアー頑張ります。よろしくお願いします!では早速、そもそも、のところから。前回から突如登場した「高野」という人物が一体何者なのか、気になっている方も多いと思うので、普段のお仕事の内容を簡単に教えていただけますか?

高野:はい。私は、商品の生産管理を担う「SCM(サプライチェーンマネジメント)部」に所属しており、商品の受発注計画、販売計画の立案、商品の原料調達などを行っています。具体的には「フコイダンPROTECT」シリーズの原料となるガゴメ昆布の調達や、OTC製品の調達を担当しています。

福井:なるほど!本プロジェクトの主役である「ガゴメ昆布」とは、原料調達を通して長い付き合いなんですか?

高野:そうですね。時が過ぎるのは早いものでかれこれ20年ほど経ちます。「フコイダンPROTECT」シリーズではもともと、天然ガゴメ昆布を原料としていましたが、この天然昆布が無くなってしまうと原料も無くなる。つまり、商品を製造できなくなってしまうんです。

福井:もしや、そこから養殖昆布への移行や、プロジェクトのアイデアが生まれたんですか?

高野:急にアイデアがまとまった訳ではありませんが、そうですね。原料調達の関係で、毎年8月下旬ごろにその年の昆布の穫れ具合を確認するため、函館の各漁協を訪れていて。そうすると、漁師さんの自宅前や漁港など行く先々でガゴメ昆布や真昆布が天日干し・屋内干しされている光景に出会います。これは初夏〜晩夏にかけて函館沿岸一帯で見られる夏の風物詩なんです。

漁師さんの乾燥施設にて、ガゴメ昆布が室内干しされている様子

高野:ですが、2016年ごろだったと思います。漁村から昆布を干す風景が減っている事に気がつきました。人通りも少なく、年々寂しさを感じるようになったんです。

函館を訪れる際、当時 北海道大学で水産科学研究院に在籍されていた安井肇 先生にお話を伺えるのも楽しみの一つだったんですよね。そこで先生に、ガゴメ昆布の生産量が減っている理由を伺うと、冬に到来した爆弾低気圧の影響で海底の昆布が根こそぎ剥ぎ取られたり、巻き上げられた砂が昆布にかぶさり光合成が妨げられてしまったこと。また、気候変動に伴う(地球温暖化による)海水温の上昇、海藻を餌とするウニや貝類が増えすぎたことによる沿岸生態系バランスの乱れ……。様々な要因が重なり合って、年々天然ガゴメ昆布の個体数が減っていることを教えてもらいました。

昆布の商社さんともお話をするのですが「今年も少ない」という話を度々聞くようになり、「このままだと、天然ガゴメ昆布が危ないのでは…?」と思うようになったんです。

福井:なるほど…。肌で感じたことが安井先生のお話で裏づけられたんですね。

高野:天然昆布が穫れないとなると漁師さんの収入にも影響が出ますし、このままだと絶滅の危機に直面してしまいます。なので、シオノギヘルスケアとしてまずは天然ガゴメ昆布の収穫を少しでも抑えられるよう、養殖ガゴメ昆布への切り替えをスタートしました。ただ、ガゴメ昆布の養殖はなかなか難しいようで…。これについては、また別のレポートで紹介するのも面白いかもしれません。漁師の皆さんの尽力もあり、養殖ガゴメ昆布100%使用に向けて、現在順調に切り替えを進めています。

社長の一言でプロジェクトが誕生!?

福井:養殖昆布への切り替えは、プロジェクトスタートよりも前に始まっていたんですね。ここからどうやって、プロジェクトに繋がっていくのでしょうか?

高野:先ほどお話しした内容は、社内でも随時共有をしていて。我々のビジネスと、収入面や高齢化などの地域課題、その両方を解決できる取り組みができないかなと考えていたんです。 そんな時でした。2019年8月9日に吉本社長に突然呼ばれ「函館のガゴメ昆布で、何か面白いこと出来ないかな?」と言われたんです。それをきっかけに、きちんと「昆布の森再生プロジェクト」として立ち上げようと思いました。

福井:そういう経緯だったんですね!では「何か出来ない?」という漠然とした投げかけに対して、高野さんが感じられていた漁師さんの経済面の支援や、海中の環境問題というところに課題を見つけ、具体化して行ったという事ですね。

高野:そうですね。発端は社長の一言でしたが、もともと感じていた課題でした。進めていくにあたっては、大変自由にやらせてもらっています。プロジェクトは2019年にスタートしているので、ちょうど丸3年経ちました。

福井:そこから2021年7月には、経済産業省補助事業の「地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業」を活用した取り組みがスタートしていましたが、どのように形になったんですか?

高野:まずですね、プロジェクトを開始するということで自分の想いを伝えようと、様々な人に会いに行きました。ただ、函館の人達が天然ガゴメ昆布の減少に対しての危機感を当時は持っておらず、中には「仕方のないこと」という反応の方もいました。

福井:良くも悪くも、「自然とともに」生きるというような反応だったんですね。

高野:そうです。何かしたい!と提案をしても「それ、新規性が無いよね」など結構否定的なコメントを頂くこともあり、気持ちが萎えてしまうことも…。けれどもそんな中、北海道立工業技術センターへ相談に行った時に、函館市の経済部の方をご紹介いただけることになりまして。自治体の方へ「シオノギヘルスケアが天然昆布保護のための活動を行いたいと言っている」と伝えてくださいました。

そこで、改めて函館市に対して、昆布の森再生プロジェクトで掲げている「天然ガゴメ昆布の再生活動への考え」をお話をしました。そうしたら、元々函館市でも大型の補助事業を検討していたタイミングだったこともあり、一緒にやりたいですね、という話になりました。

福井:一気に話が進んできましたね。

高野:はい。その後、北海道経済産業局に、地域課題を解決する取り組みとして「昆布の乾燥工程の効率化」を行いたいと申し出ました。そこで共生ビジネスの補助事業を紹介いただき、取り組むこととなりました。

手探りで、少しずつ形に。

福井:となると、それが2021年7月にスタートした補助事業へと繋がっていったんですね。

高野:はい。ただ、補助事業を使って何かやりたいとは思っていましたが、具体的に「これをやりたい!」と最初から明確にあった訳ではなく。その後も函館の方々や、さまざまな専門分野の皆さんに意見をいただく中で、自分たちが考えている事を実現するためには何がベストかが見えてくるようになりました。

そんな様々な事を経て2021年7月に、社外に対して「昆布の森再生プロジェクトを始めます」と正式に発表することが出来ました。振り返ってみると本当に悩んでいる時間の方が多かったなと改めて思います。前途多難と言うか…ずっと多難ばかりでしたね。

福井:お話を聞いていると、トントン拍子で進んで行ったようにも聞こえますが…。どうやったらプロジェクトを軌道に乗せられるかということを、手探りながらいろんな方にお会いし、話を持ち掛けて推進されていったとは知りませんでした。高野さんの仕事史に残る、忘れられない記憶となりそうですね。

高野:はい、まさに。話は逸れますが、途中からはコロナ禍もあったからか「SHIONOGI」のブランド名が本当に役に立ったというか…話を聞いてもらいやすい環境だったことに感謝しています。 プロジェクトをより推進していく事は勿論ですが、ユーザーの皆さんへ情報をお届けする事、そして社内をもっと巻き込んでいく事にも力を入れていきたいです。

福井:情報の発信と社内の巻き込み、良いですね!何かモチベーションになっている事はありますか?

高野:自分の中でモチベーションに繋がるのは、社外からの期待ですね。「シオノギヘルスケアさんなら何かやってくれる」「安心できる」というようなお声を、色んな所で頂戴していて。それに対して、行動・結果で示して行かなければ、という点がモチベーションになっています。



プロジェクトが始まるまでが分かったところで。まだまだ、2人の話は終わりません。次回vol.3の記事にて続編をお届け予定です。

昆布の森再生プロジェクト スペシャルサイト

ガゴメ昆布をつかうから、育てるへ。
シオノギヘルスケアではカゴメ昆布の利用を天然から養殖へ切り替えることで、天然ガゴメ昆布の保護・再生を目指す「昆布の森再生プロジェクト」を発足。
2024年までに本製品の原料を養殖ガゴメ昆布100%に切り替えることを目指しています。

このサイトを見る

フコイダンPROTECT Twitter

「フコイダンPROTECT」のTwitter公式アカウント
「フコイダンPROTECT」シリーズは、ガゴメ昆布が自然の厳しさから身を守るためのバリア成分「フコイダン」を高純度で抽出したサプリメント(健康食品)です。Twitterでは商品情報や商品にまつわるストーリー、「函館出張記」などをお届けしています。

Twitterを見る