改めて見直したい手指やモノの消毒の仕方
感染症対策は、手指やモノを消毒・洗浄することで、手指にできるだけウイルスや細菌を付着させないことが大切です。現在では、「消毒」や「除菌」の効果をうたう様々な製品が出回っていますが、目的にあった製品を正しく選び、正しい方法で使用しましょう。
手指の消毒方法
手指の消毒は、もっとも大切な感染症対策の1つです。効果的な手洗いとアルコール消毒の方法を紹介します。
※ウイルスの中にはノロウイルス等、アルコール抵抗性が強いウイルスも存在します。
手指についたウイルスの対策では、ウイルスを洗い流すことが最も重要です。石けんやハンドソープで10秒もみ洗いした後に流水で15秒すすぐ手順を2回繰り返すことで、ウイルスを約100万分の1に減らすことができます。

アルコールは、ウイルスの「膜」を壊すことで無毒化させます。効果のあるアルコール濃度を確認して利用しましょう。濡れた手では濃度が薄まり効果が減少してしまうため、乾いた手によくすりこみます。肌荒れが心配な方は保湿ケアも合わせて行いましょう。

消毒したい物を、80℃の熱水に10分間さらすことで、付着したウイルスを死滅させることができます。アルコール消毒や漂白剤につけられない食器や箸などに有効な消毒の方法です。やけどには十分注意してください。

人がよく触る部分には、市販の塩素系漂白剤の主成分である「次亜塩素酸ナトリウム」が有効です。市販の家庭用漂白剤を、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.05%になるように薄めて拭きます。その後は水拭きしてください。

※目や肌への影響があり、取り扱いには十分注意が必要です。※必ず製品の注意事項をご確認ください。
※金属は腐食することがあります。
テーブルやドアノブなどには、市販の家庭用洗剤の主成分である「界面活性剤」も一部有効です。界面活性剤は、ウイルスの「膜」を壊すことで無毒化するものです。NITE※のホームページで有効な製品を紹介しています。
※独立行政法人 品評価技術基盤機構

◆独立行政法人 品評価技術基盤機構
新型コロナウイルスに有効な界面活性剤が含まれている製品リスト
https://www.nite.go.jp/information/osirasedetergentlist.html
【 Topics 】細菌(病原菌)に対する滅菌、消毒、抗菌、除菌
感染症対策でよく目や耳にするようになったこれらの言葉。細菌(病原菌)から身を守るために、意味の違いを理解し、製品購入や感染症対策に役立ててください。


完全に殺す
病原性の有無にかかわらずすべての微生物を殺すこと
<用途>治療器具や手術器具などに

ある程度殺す
病原菌をターゲットに、感染症を防げる程度まで病原菌の感染力を失わせること
<用途>手や食器など粘膜に直接触るものに

増殖を防ぐ
モノの表面における細菌の増殖を抑制すること
<用途>衣類やスマホなど菌が増えやすいところに

取り除く
モノの表面における生きた細菌数をある程度減らすこと
<用途>不特定多数の人が触れたりするところに
監修

- 医学博士 前田 和久先生
- 北千里 前田クリニック院長。大阪大学医学部卒業。糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満症などの生活習慣病に対する専門治療を中心に、種々の外来診療を行う。専門外来では「ウエイトマネジメント外来」「ロコモ外来」など、自由診療では「腰痛・膝痛外来」「アロマテラピー外来」「抗加齢(アンチエイジング)外来」など、多様化する患者個々人のニーズに応える医療を展開。日本アロマセラピー学会 副理事長。