感染症対策 多層防御のススメ「咳エチケット」

Update: 2021.12.3
#感染症対策

改めて見直したい咳エチケット

咳エチケットは「感染しない、感染させない」ために誰にでもできる社会貢献です。改めて咳エチケットの方法と大切さを見直しましょう。

ウイルスを拡散する咳とくしゃみ

ウイルスを持つ人が咳やくしゃみをした時の飛沫の中には、ウイルスが含まれています。咳の場合で1回あたり約3千個、くしゃみでは1回あたり約4万個、5分間話すだけでも約3千個の飛沫が生じるとされています。つまり、感染症対策には飛沫が飛び散らないエチケットがとても重要です。

咳 1回あたり約3千個 くしゃみ 1回あたり約4万個 5分間話す 約3千個

出典:World Health Organization:Natural ventilation for infection control in health-care settings. Atkinson J, et al, eds. WHO Publication/Guidelines, 2009.

気をつけよう!咳・くしゃみの悪い事例

咳やくしゃみの飛沫が原因で感染する感染症は数多くあります。これらの感染症を他人に感染させないためには、咳やくしゃみをする際の適切な対応が不可欠です。大量のウイルスを飛散させたり、接触感染を広げるような行為は控えましょう。

× 咳やくしゃみを手でおさえる

咳やくしゃみをおさえた手でドアノブなどを触ると、ウイルスが付着して、他の人に病気をうつす可能性があります。

× 何もせずに咳やくしゃみをする

さえぎるものなく、咳やくしゃみをした場合、飛沫は2mほど飛び散ります。その飛沫を他人に浴びせることで、感染を広げてしまう可能性があります。

3つの正しい咳・くしゃみエチケット

マスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って、口や鼻を覆いましょう。特に電車や職場、学校など人が集まるところで実践することが重要です。

1 マスクを着用

マスクの取扱説明書をよく読み、正しくつけましょう。鼻からあごまでを覆い、隙間がないように。

2 ティッシュ・ハンカチなどで口や鼻を覆う

口と鼻を覆ったティッシュは 、すぐにゴミ箱に捨て、手を洗いましょう。

3 上着の内側や裾で覆う

マスクやハンカチなどがない時に咳やくしゃみをする場合は、手ではなく、上着の内側や袖で覆いましょう。

咳・くしゃみはマスクの中で行いましょう。
濡れたマスクは交換しましょう。

マスクは濡れると効果がなくなります

マスクの中で咳やくしゃみをしたら、できるだけこまめに取り替えましょう。マスクは濡れることで通気性が悪化し、マスクの隙間からウイルスが入り込みます。


正常なマスクはウィルスなどをブロック

正常なマスク

マスクを通して空気が出入りするため、マスクがフィルターとなり、ウイルスなどを付着させます。


濡れたマスクはすき間からウィルスなどが出入りする

濡れたマスク

咳やくしゃみでマスクが濡れると、空気を通すことができず、隙間からウイルスが入り込みやすくなります。

【 Topics 】マスクやティッシュは、捨てるときにもリスクがあります

マスクを着用する時には注意が必要です。でも実は、廃棄する時はそれ以上に取り扱いの注意が必要です。正しい廃棄方法を知っておきましょう。

マスクイラスト

廃棄するときに舞うウイルスを防ぐ

着用したマスクにはウイルスが付着している可能性があります。
廃棄する時には、付着したウイルスが拡散しないような注意が必要です。

1 マスクを外す

1.
マスクの外側に触れないように、ひもの部分だけを持ち、マスクを外します。

2 小さい袋に入れる

2.
すぐに小さい袋に入れて口をしばります。

3 袋ごと廃棄

3.
蓋付きのごみ箱に袋ごと廃棄します。

ごみを捨てるときも注意しましょう

ごみ袋がいっぱいになると口を縛る時に空気が中から吹き出してきて、ウイルスが飛び散る可能性があります。ゴミがいっぱいになる前に捨て、その後はすぐ、念入りに手洗いを行いましょう。

ごみ箱
ごみがいっぱいになる前に捨てましょう
手洗い
捨てた後は必ず手洗いを!

監修

前田 和久先生
医学博士 前田 和久先生
北千里 前田クリニック院長。大阪大学医学部卒業。糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満症などの生活習慣病に対する専門治療を中心に、種々の外来診療を行う。専門外来では「ウエイトマネジメント外来」「ロコモ外来」など、自由診療では「腰痛・膝痛外来」「アロマテラピー外来」「抗加齢(アンチエイジング)外来」など、多様化する患者個々人のニーズに応える医療を展開。日本アロマセラピー学会 副理事長。