感染症多層防御のススメ「マスク」

Update: 2021.10.08
#感染症対策

改めて見直したいマスクの取り扱い方

マスク着用が当たり前になった昨今。以前は、マスクの感染症対策に関する科学的根拠の不足が指摘されていました。しかし、現在ではマスク着用の重要性が認識され、世界中で必要不可欠な物になっています。今回改めて感染症対策としてのマスクの取り扱いについて説明していきます。

マスク着用は、フィジカルディスタンスと同等の感染リスク減少が期待できます。

 カナダの大学研究チームが16か国で患者総数25,697例の観察研究を行ったところ、フィジカルディスタンスが1メートル以上の場合で感染リスクが約82%減少しました。一方、マスクの着用では約85%減少することが報告されています。さらに、ドイツの大学でもマスクを義務化した街の事例をもとに分析し「統計的に確かな確証がある」と発表しています。

免疫機能が低下すると病気にかかりやすい/免疫機能が安定すると病気に負けない体に

出典:Derek K Chu, MD, Prof Elie A Akl, MD, Stephanie Duda, MSc, et al. Physical distancing, face masks, and eye protection to prevent person-to-person transmission of SARS-CoV-2 and COVID-19: a systematic review and meta-analysis. Lancet (London, England). 2020 06 27;395(10242);1973-1987. pii: S0140-6736(20)31142-9.

マスクは正しくつけて効果を発揮

 感染症対策に確かな効果が認められたマスクですが、正しく着用してこそ、最大限の効果を発揮します。特に注意が必要な不織布マスクの正しい付け方を紹介します。

1
マスクの部分を上下にひっぱり、膨らんだほうを外側にして、着用します。
2
ノーズフィットワイヤーが上にくるように、顔に当てながら紐を両耳にかけます。
3
ノーズフィットワイヤーを鼻の形に合わせて、あごを包むようにマスクを下まで伸ばします。
4
最後に、ノーズフィットワイヤーをしっかり鼻の形に合わせて、セットします。

こんなつけ方はNGです

大きすぎる

大きすぎるマスクを着用すると、マスクと顔の隙間から細菌やウイルスが入り込んでしまう原因に。

鼻が出ている

ウイルスは、口だけではなく鼻を通っても侵入します。また、鼻からウイルスを含んだ飛沫が出る可能性も。

あごにかける

マスクをつけていない部分には、ウイルスなどが付着している場合が。マスクを戻した際に感染する危険があります。

マスクと長く付き合うために

1 | TPOを考えて行動する

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マスクは人との距離が充分離れている時は外しても問題有りません。外せる時は外して、ストレスを軽減しましょう。

2 | 自分に合ったマスクを選ぶ

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現在、多種多様なマスクが販売されています。今後しばらくは着用することが必要になるので、あまり神経質になりすぎないよう、「ストレスにならないマスク」「楽しめるマスク」選びもおすすめです。


感染拡大を防ぐマスク着用はひとりひとりができる「社会貢献」です。
マスクを正しく上手に着用し、感染症対策に取り組みましょう。

【 Topics 】マスクの長時間着用で肌荒れ、ニキビが急増中!

 マスクを長期間、長時間着用することによって、口周りなどに肌荒れやニキビができる方がとても増えてきています。その原因と対策方法を紹介いたします。

肌荒れ、ニキビの原因は?

 肌荒れやニキビの原因は、①マスクによる蒸れ、②蒸れによる雑菌の繁殖、③物理的な擦れ、などが上げられます。特に摩擦は、肌にダメージを与えるので、肌荒れやニキビの原因になります。


対策方法1 | マスク素材を選び直す

体質や体調によっては不織布やポリウレタン製が、肌に合わない場合も。そんな時には綿やシルクなどの肌にやさしい素材がおすすめです。

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対策方法2 | 保湿剤を塗る

マスクが頻繁に触れる頬、鼻、あご、耳の後ろは肌ダメージを受けやすいので、ご自分の肌に合った保湿剤を塗っておくのもおすすめです。

保湿剤


対策方法3 | 汗をこまめに拭く

雑菌の繁殖を防ぐためには、マスク内の汗をこまめにやさしく拭きましょう。できればその後に、保湿するのが望ましいです。

汗を拭く

監修

前田 和久先生
医学博士 前田 和久先生
北千里 前田クリニック院長。大阪大学医学部卒業。糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満症などの生活習慣病に対する専門治療を中心に、種々の外来診療を行う。専門外来では「ウエイトマネジメント外来」「ロコモ外来」など、自由診療では「腰痛・膝痛外来」「アロマテラピー外来」「抗加齢(アンチエイジング)外来」など、多様化する患者個々人のニーズに応える医療を展開。