感染症多層防御のススメ「腸」

Update: 2021.04.09
#感染症対策

腸が持つ多層防御システム

腸には、体の免疫細胞が70%以上集中して存在しています。腸の働きは食べたものを消化、吸収するだけではありません。病原体が体の中に侵入することを防ぐために、幾層にもわたった腸独自の多層防御システムが存在しています。

腸にある3層の防御システムを強化しましょう。

腸には「腸内細菌叢」、「腸管細胞」、「免疫機能」の3層の防御システムがあります。それぞれに役割があり、感染症を防ぐ多層防御システムが24時間、365日働いています。

3層の防御システム

第1の層 | 腸内細菌叢

腸内には約100兆個もの腸内細菌が存在しています。これを腸内細菌叢と呼びます。有用な腸内細菌が多く存在することで、病原体を排除する働きが高まります。

第2の層 | 腸管細胞

腸管の細胞と細胞がしっかりと密着して壁のようになり、有害物質の侵入を防ぎます。また、表面に粘膜を形成し、病原体が腸細胞に直接触れるのを妨げます。

第3の層 | 免疫機能

体内に侵入してきた病原体を察知して、免疫細胞や抗体で攻撃。病原体を無効化する機能です。

腸の防御システムはとてもデリケート

腸の防御システムは、優れた精密機械のようなシステムです。しかし、生活習慣の乱れやストレス、運動不足、加齢などが原因で、その優秀な防御システムも正常に働いてくれなくなります。病原体がいつやってくるかはわかりませんので、日々の暮らしの積み重ねで病原体に負けない体をつくることが大切です。

腸の防御システムはとてもデリケート

腸を強化するためには日々の積み重ねが最重要

腸を強化するために、もっとも大切なのが日々の積み重ねです。特に食事、運動、睡眠の習慣を見直して、強い体をつくりましょう。


食習慣「腸に良い4大食品」

腸内細菌叢は食べたものに大きく影響を受けます。有用な腸内細菌が喜ぶ4大食品を積極的に摂取しましょう。

腸に良い4大食品

運動習慣「継続が鍵」

健康のための運動で最も重要なのは、無理せず続けることです。自分に合った続けやすい負荷とタイミングを見つけましょう。

継続が鍵

睡眠習慣「腸のおそうじタイム」

睡眠中、腸は老廃物を集めて、排出する準備を整えています。腸がしっかり働けるよう質の高い睡眠を心掛けましょう。

腸のおそうじタイム

【 Topics 】善玉菌の代表格「ビフィズス菌」

腸内細菌には体にとって有用な「善玉菌」と炎症を起こす「悪玉菌」が存在しています。善玉菌の多くを占める代表格がビフィズス菌。腸内で「乳酸」と「酢酸」をつくりだし、強い殺菌作用で悪玉菌を抑制してくれます。

ビフィズス菌

乳児期に最大となり
年齢と共に減少する

ビフィズス菌は、健康な乳児の腸内細菌叢の大半を占めています。しかし年齢とともに腸内のビフィズス菌は減少していき、悪玉菌が増加します。ビフィズス菌をいかに大腸に多く保ち続けるかが大切です。

年齢による腸内細菌バランスの変化

腸に定着しないため、毎日の摂取が重要

有害菌の増加を抑制するビフィズス菌ですが、一回摂取すれば永久に腸内ですみつづけるというものではありません。年を重ねると減っていくものでもあるので、食事や健康食品などで毎日継続して摂取することが大切です。

監修

前田 和久先生
医学博士 前田 和久先生
北千里 前田クリニック院長。大阪大学医学部卒業。糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満症などの生活習慣病に対する専門治療を中心に、種々の外来診療を行う。専門外来では「ウエイトマネジメント外来」「ロコモ外来」など、自由診療では「腰痛・膝痛外来」「アロマテラピー外来」「抗加齢(アンチエイジング)外来」など、多様化する患者個々人のニーズに応える医療を展開。