血液の流れに乗って
免疫細胞が全身をパトロール
人の体にたくさんある細胞、1つひとつに酸素や栄養を届けているのが血液です。生命活動の源とも言える血液の流れは、体の防御機能・免疫力とも密接に結びついています。
主に血液中に存在し、ウイルスや細菌と戦うのが「免疫細胞」です。血液が体内をかけめぐることで、免疫細胞が体中をパトロールして外敵を素早く見つけ、対処することができます。
血液中では、ウイルスや細菌への攻撃を担うNK細胞をはじめ多種多様な免疫細胞が活躍しています。しかし血流が悪くなると、免疫細胞がウイルスや細菌を捉えきれず、病気にかかりやすくなります。
また、全身に血流をめぐらせるためには、血管の状態も重要になります。血管の働きは血液を流し、全身に行き渡らせることです。若々しい血管はしなやかで弾力性があり、血流がスムーズ。一方、老化が進んだ血管は弾力を失い硬くなり、血流も滞りがちです。血管は加齢と共に老化していきますが、現代人特有の不健康な生活が実年齢以上に老化スピードを早めています。
この「血流」と「血管」が良好でない状態=血行不良であることは、免疫力アップを妨げる原因となります。
現代人は、運動不足、偏った食事、ストレス、不規則な生活などから、血行不良を起こしがちです。まずは、体に血行不良のサインが出ていないかチェックしてみましょう。
〈あなたは大丈夫!?血行不良セルフチェック〉
1)肩や首が凝る
血行不良によって疲労物質が停滞。血管が圧迫され、痛みや筋の緊張感といった肩こりの諸症状をもたらします。
2)体の一部が常に冷たい
血液は体温調節の役割も担っています。血流が滞ると手足の末端まで血液が行き届かなくなり、冷えを引き起こします。
3)舌の色が黒ずんでいる
舌には毛細血管が集まっていて血流の変化が表れやすい部位です。健康な舌はキレイなピンク色、黒ずんでいると血行不良が疑われます。
4)爪が白くて血色が悪い
体の末端にある爪は血流が反映されやすい部位です。健康な爪はピンク色ですが、血液が行き届いていない状態だと、血色が悪く、白くなります。
上記の症状に当てはまる場合、血行不良の可能性があります。
生活習慣を見直して、若々しい血流&血管に
血管の老化には個人差があります。実年齢より若々しい人もいれば、老化が進んでいる人も。その差を作るのは、日頃の生活習慣です。ストレス・運動・食事の3つのポイントから生活を見直し、年齢に負けない若々しい血流&血管をキープしましょう。
実践!3つの血流&血管ケア
①ストレスケア
ストレス状態は長く続くことで、自律神経のバランスが乱れて血管が萎縮し、スムースな血流を妨る原因になります。規則正しい睡眠、入浴でリラックスを心がけるなど、ストレスのかかった心身を休ませて、血流を高めましょう。
②運動
血流は心臓からのポンプ作用で血液を送り出されています。心臓から遠い手足は血流が滞りやすく、体を動かして血行を促すことが大切です。やや汗ばむくらいの簡単な運動やストレッチ、ウォーキングなどを行い、血流を効率よく促す運動を習慣にしましょう。
③食事
EPA・DHAを多く含む青魚、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富な緑黄色野菜、アリシンたっぷりの玉ねぎなど、血液をサラサラにする成分をたっぷり摂りましょう。水分不足も血液ドロドロ=血行不良の原因の1つ。こまめな水分補給を心がけましょう。
監修
- 農学博士 矢澤 一良先生
- 早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 部門長
京都大学工学部卒業。その後、相模中央化学研究所に入所、東京大学より農学博士号を授与される。
2000年、湘南予防医科学研究所を設立。主な研究テーマは、予防医学的食品・医薬品素材。日本脂質栄養学会理事、日本機能性食品医用学会理事、日本臨床栄養協会理事。