人体最大の免疫器官「腸」

Update: 2021.04.23
#免疫を整える

免疫細胞の約60%以上は
腸に存在しています

腸は「第二の脳」とも呼ばれ、私たちの健康を守ろうと賢く働いています。細菌やウイルスなどの外敵にとって、腸の粘膜は最も侵入しやすい場所です。そのため、24時間365日、次々侵入してくる外敵を素早く発見・攻撃・排除するために、体全体の免疫細胞の約60〜70%が腸に集中しています。腸は体の中で最も大きく、最も重要な免疫器官なのです。

腸にある3層の防御システムを強化しましょう。

腸には「腸内細菌叢」、「腸管細胞」、「免疫機能」の3層の防御システムがあります。それぞれに役割があり、感染症を防ぐ多層防御システムが24時間、365日働いています。

腸内の免疫システムの役割

①腸内に入ってきたものを、免疫細胞が認識します。

②それらが無害なのか有害なのかを免疫細胞が判断します。

③有害と判断したものを攻撃し、体内から排除します。

3種類の腸内細菌のバランスが
免疫力を左右します

免疫力を高めるためには、免疫細胞の主な活躍の場である腸を、健全な状態に保つことが欠かせません。腸には約1000種類・約100兆個もの腸内細菌が生息していて、それらの構成バランスが良いと、腸内環境を良好に保つことができ、免疫力が本来の力を発揮できるようになります。

腸内細菌には大きく分けて、ビフィズス菌や乳酸菌などの「善玉菌」、良い働きも悪い働きもしない「日和見菌」、ウェルシュ菌、大腸菌(有毒株)など「悪玉菌」の3種類があります。

この3種類の菌の働きは、善玉菌は腸内の環境を整え、免疫力が働きやすいようにサポート。悪玉菌は有毒物質やガスを産生するので、増えすぎると体に様々な悪影響を与えます。腸内では常に善玉菌と悪玉菌の勢力争いが繰り広げられていて、善玉菌が優勢な時はおとなしい日和見菌ですが、悪玉菌が優勢になると悪玉菌に味方して体に悪い作用を及ぼします。

つまり、腸の中で善玉菌が優位な状態であることが、免疫力を高めるには重要になってきます。

悪玉菌は年齢と共に増加
腸内細菌ケアで若々しい腸づくりを

悪玉菌は年齢と共に増加

腸内細菌のバランスは年々変化をし、加齢と共に悪玉菌の割合が増える傾向にあります。また、脂質や動物性たんぱく質の多い食事は悪玉菌の大好物なので、現代人特有の偏った食生活が“腸内環境の老化”を進行させてしまうケースが少なくありません。

食生活の改善など、腸が喜ぶ健康的なライフスタイルを取り入れ、腸内細菌と上手に付き合いながら若々しい腸をつくり、免疫力を高めましょう。

①腸をキレイにする食物繊維を摂る

腸内環境を整え、善玉菌を増やしてくれる食物繊維は、整腸には欠かせない栄養素。玄米や野菜、豆など不溶性食物繊維を含む食材、寒天などの水溶性食物繊維を意識して摂りましょう。

②善玉菌の好物を増やし、悪玉菌の好物を減らす

悪玉菌は不規則な生活や過度なストレス、肉や油に偏ったバランスの悪い食事が大好き。それに対して、善玉菌は規則正しい生活や、野菜や穀類・海藻など食物繊維が豊富なバランスのとれた食事を好みます。善玉菌の好物を増やして腸内環境を整えましょう。

善玉菌の好物
悪玉菌の好物

監修

農学博士 矢澤 一良先生
農学博士 矢澤 一良先生
早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 部門長
京都大学工学部卒業。その後、相模中央化学研究所に入所、東京大学より農学博士号を授与される。
2000年、湘南予防医科学研究所を設立。主な研究テーマは、予防医学的食品・医薬品素材。日本脂質栄養学会理事、日本機能性食品医用学会理事、日本臨床栄養協会理事。