意外?!
骨と免疫力との関係とは?
「体を支える」「内臓を守る」「カルシウムの貯蔵庫」といった、健康にまつわる重要な役割を担う骨。実はその他に、免疫力の向上にも関わっていることをご存知でしたか?
今回は、骨が免疫力と関わる仕組、また、現代人の「骨」事情、そして骨を健康にするための生活習慣についてご紹介します。
骨は免疫細胞の故郷だった!?
細菌やウイルスから体を守る「免疫細胞」とは?
「免疫細胞」とは、異物や病原体などを認識して攻撃する細胞の総称。ウイルスに感染した細胞を攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞を始め、様々な免疫細胞が協力し合い、優れた連携プレーによって体を守っています。
免疫細胞達は、骨の内側にある「骨髄」で生まれ育ちます
私たちの体を流れる血液の細胞は、全て、骨の内側にある「骨髄」でつくられており、その中には免疫細胞も含まれています。免疫細胞は、骨髄の中で多種多様な免疫細胞に成長した後、血液中に送り出されて体中をパトロール。血液とリンパ液の流れに乗って、無数の病原体を撃退します。このように、骨の中で生まれた免疫細胞が体を守ってくれているのです。
現代人の骨はもろくなりやすい!?
骨密度の低下は免疫力のピンチ!
骨は「新しい骨をつくる」と「古くなった骨を壊す」を常に繰り返していて、成人の場合、約3年で全ての骨が入れ替わります。しかし、年齢と共に骨が入れ替わるバランスが崩れ、徐々に骨密度が低下。また、現代人の生活では、運動・栄養・紫外線など骨形成に必要な条件が不足しやすく、骨密度の低下が加速する傾向にあります。
近年の研究で、骨をつくる細胞(骨芽細胞)の働きが衰え、骨密度が低下すると、骨髄内で生まれる免疫細胞の量も減少することが明らかになりました。つまり、骨の老化は免疫力の低下につながるのです。

骨がもろくなる原因
運動不足
丈夫な骨をつくるには、体を動かし、骨に適度な負荷や刺激を与えることが必要です。便利な機器が増え「体を動かさない」毎日は、現代人の骨をもろくする原因の一つに。
カルシウム不足
現代の日本人は慢性的なカルシウム不足。また、骨の形成にはカルシウムだけでなく、ビタミンD、大豆イソフラボン、タンパク質、ビタミンKなどの栄養素を併せて摂る必要があります。
紫外線不足
カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、食物で摂る以外に紫外線を浴びることで体の中で生成されるため、過度な紫外線対策や外出不足はビタミンD不足を引き起こします。
目指せ!骨の健康
何才からでも良い骨はつくれます
丈夫な骨をつくって免疫力をアップすることは可能です。
加齢と共に骨をつくる力は衰えていきますが、ちょっとした心がけで骨密度の低下をゆるやかにして、丈夫な骨をつくり続けることは可能です。「適度な運動」「十分な栄養」「軽い日光浴」の3つの生活改善で、骨の健康と若々しい免疫力をキープしましょう。
3つの生活改善で骨の健康を守りましょう。
運動
骨を作る細胞は、運動などによる刺激で活発になります。ウォーキングなど軽い運動を習慣にしましょう。

食事
カルシウムに加え、大豆イソフラボン、ビタミンDなど、骨を強くする栄養素を積極的に摂りましょう。

日光浴
日光を浴びることで骨を強くする栄養素ビタミンDを生成します。1日15分程度は日光に当たりましょう。

監修

- 農学博士 矢澤 一良先生
- 早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 部門長
京都大学工学部卒業。その後、相模中央化学研究所に入所、東京大学より農学博士号を授与される。
2000年、湘南予防医科学研究所を設立。主な研究テーマは、予防医学的食品・医薬品素材。日本脂質栄養学会理事、日本機能性食品医用学会理事、日本臨床栄養協会理事。