免疫を整える「ウイルスVS免疫力」

Update: 2021.02.01
#免疫を整える

かぜをひきやすい人・ひきにくい人
その違いは「免疫力の違い」?

寒さが厳しくなると注意したい、かぜやインフルエンザ。これらは、流行しているからといって、誰もがひいたりかかるわけではありません。めったにかぜをひかない人、かかっても症状の軽い人、ひきやすくなかなか治りにくい人など、症状は人それぞれ。その理由は、一人ひとりが持つ「免疫力の違い」にあります。


かぜやインフルエンザの原因は
「ウイルス」です

ちなみに、万病の元と言われるかぜも、寒い時期に猛威を振るうインフルエンザと同じように、そのほとんどがウイルス感染によって引き起こされます。かぜの正式名称は「かぜ症候群」で、原因となるウイルスは数百種類にも上ります。

寒いと、かぜ・インフルエンザが流行するのはなぜ?

かぜやインフルエンザのウイルスの多くは、低温かつ乾燥した環境を好み、寒い時期は働きが活発になります。さらに、乾いた空気の中では、飛散したウイルスから水分が蒸発し、長時間私たちの周りを漂うため、感染リスクが高まります。加えて、寒さや乾燥が体への負担を大きくするので、免疫力は低下しがち。冷えや自律神経の乱れ、粘膜の乾燥などから、免疫システムが十分働かず、かぜをひきやすかったり、インフルエンザにかかりやすくなります。

かぜウイルス

感染力が弱くゆるやかに発症
接触感染、空気感染で発病します。感染力は弱く、ウイルスが徐々に増えて、鼻、喉など部分的かつ、ゆるやかに症状が現れます。



インフルエンザウイルス

感染力が強く急激に発症
感染力が強く、主にくしゃみや咳による飛沫感染によって広がります。急に高熱が出て、頭痛、だるさ、痛みなど全身につらい症状が現れます。

免疫力の違いで見る
「かぜをひきやすい人・ひきにくい人」

■かぜをひきやすい人は…

免疫力が低下していて
感染症を発症しやすい

免疫力が低下していると、感染した際に免疫システムが十分働かず、ウイルスが体内で増殖。感染した部位に炎症が起こり、鼻水、せき、発熱などの諸症状が現れます。

[免疫力が低下しやすい理由]
ストレス、疲労、冷え、運動不足、不規則な生活、偏った食事、睡眠不足といった現代人特有の生活習慣の問題が、免疫力を低下させます。



■かぜをひきにくい人は…

免疫力が働いているため
ウイルスをブロックできる

体中に張り巡らされた免疫システムがしっかり働いて体内に侵入したウイルスをブロック。たとえ感染しても、症状が出る前に免疫細胞が撃退するため発症しません。

[免疫力が保たれている理由]
もともと体に備わっている「自然免疫」がきちんと働いていることと、一度出会った外敵を体が覚えることで獲得する「獲得免疫」、その2段構えで病気を防いでいます。

免疫力アップで風邪をひかない
&回復の早い体づくりを!

かぜをひいたりインフルエンザにかかると、体は体温を上げることで免疫力を活性化させます。つまりウイルスへの攻撃力を高めている時は熱が上がり、ウイルスを撃退すると熱は下がります。免疫力が低下してウイルスをなかなか撃退できないと症状が長引いてしまうのです。

免疫力は加齢によって低下しますが、生活習慣に大きく影響され、個人差が生じます。不規則な生活を正し、以下の免疫力を高める「4つの柱」を意識して免疫力アップに努めましょう。

免疫力を高めるのに大切な
「4つの柱」

(1)眠り
睡眠不足や、睡眠の質の悪さは免疫力の低下を招きます。質の良い睡眠で免疫力をアップしましょう。
(2)笑い
免疫力のエースであり、高い攻撃力を持つNK細胞は、笑うことでも活性化されます。笑顔を作るだけでも効果があります。
(3)運動
血液やリンパの中で働く免疫細胞は、運動することで体の中をスムーズにめぐり、その結果、免疫力が高まります。
(4)食事
免疫細胞の60%以上は腸に集まります。腸内環境を整える食事を摂ることで免疫力アップが期待できます。

かぜにひきにくい人も油断は禁物です。
これら「4つの柱」で生活習慣を改善し、ウイルスに負けない免疫力をつけましょう。

監修

農学博士 矢澤 一良先生
早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 部門長
京都大学工学部卒業。その後、相模中央化学研究所に入所、東京大学より農学博士号を授与される。
2000年、湘南予防医科学研究所を設立。主な研究テーマは、予防医学的食品・医薬品素材。日本脂質栄養学会理事、日本機能性食品医用学会理事、日本臨床栄養協会理事。