京に学ぶ「お十夜(おじゅうや)」

Update: 2021.11.5
#京に学ぶ

お十夜(おじゅうや)

十日間かけて阿弥陀仏を念じる「お十夜」

比叡山延暦寺を本山とする、天台宗の寺院である真如堂で、毎年11月5日から15日の間に行われるのが「お十夜」です。「この世で10日10夜善いことをすれば、仏国土で千年善いことをしたことに勝る」という教え「無量寿経(むりょうじゅきょう)」を根拠にし、阿弥陀如来の報恩に感謝するための法要です。1430年ごろ、平貞国が仏道に生きようと3日3夜のお勤めをしていたところ、夢枕にお坊さんが現れ、阿弥陀様を信じる気持ちが本当であるなら出家は待ちなさいと告げられました。その言葉に従ったことで家督を護ることができた貞国は感激し、続けて7日7夜、念仏を唱えました。これが「お十夜」の始まりです。結願の15日にはお練り法要や中風よけの小豆粥の接待もあり、多くの人で賑わいます。
※2021年の「お十夜」は中止、11月6日から15日まで開闢(厨子が開けられる)されています。

現在はお十夜の期間中、肩衣を付けた鉦講員(かねこういん)が毎夜直径30センチほどの鉦(かね)を打ち、阿弥陀仏を念じます。粥を「おじや」というのは「おじゅうや(お十夜)」がなまったという説があるのもおもしろいですね。

鉦講員

真如堂とは別の本当の名前があります

現在では広く真如堂として親しまれていますが、正式には鈴聲山真正極楽寺(れいしょうざんしんしょうごくらくじ)という名称です。真如堂というのは、元々本堂の呼び名でした。今から約千年前、永観2年(984年)に、比叡山の戒山上人(かいさんしょうにん)が、比叡山常行堂(じょうぎょうどう)のご本尊である阿弥陀如来を現在の地に移し、安置したのが始まりと言われています。境内では、京都府の文化財にも指定されている三重塔のほか、今から約300年前に建立された本堂などを見ることができます。また、京都でも有数の紅葉スポットとしても全国的に知られています。

紅葉
気候により多少異なりますが、紅葉のピークは11月20日過ぎごろ。本堂の前から裏へと徐々に移っていき、12月に入っても紅葉が楽しめることも多いそうです。
本堂
本堂の内陣や書院、庭園などは有料拝観区域。紅葉のシーズン以外は、職員の方が説明を行ってくれるのもうれしいところ。所要時間は30〜40分ほどです。
元三大師堂
京都府の文化財に指定されている、1696年に建立された元三大師堂(がんざんだいしどう)。本尊には元三大師良源の画像がまつられています。
[今回ご紹介した社寺仏閣]
真如堂
住所 京都市左京区浄土寺真如町82
電話番号 075-771-0915
拝観時間 9:00〜16:00
https://goo.gl/maps/wcDzrD2K6z7nXGHb7