京に学ぶ「鞍馬(くらま)の火祭(ひまつり)」

Update: 2021.10.5
#京に学ぶ

鞍馬(くらま)の火祭(ひまつり)

夜の闇を燃え盛る炎が照らす勇壮なお祭り「鞍馬の火祭」

霊峰鞍馬山に鎮座する、由岐神社(ゆきじんじゃ)で行われるのが日本三大火祭に数えられる「鞍馬の火祭」です。由岐大明神を御所から鞍馬に遷宮した際、鴨川の葦で作った松明(たいまつ)が道々に焚かれ、神道具を先頭にした行列の長さは約1kmになったともいわれます。その様子を再現し、現在まで伝えられてきたのが、この祭りです。毎年10月22日に行われる祭りには、たくさんの観光客が詰めかけ、大変な賑わいに。数メートルの大きさになる大松明に火が灯される様子は、迫力満点です。
※2021年の「鞍馬の火祭」は中止となります。

祭りの始まり
午後6時、周辺が厳かな雰囲気に包まれるなか、「神事にまいらっしゃーれ」という神事触れの言葉を合図に、各戸に積み上げられた篝(えじ)に一斉に点火され、祭りが始まります。
夜空を焦がす大松明
祭りが始まると、青年たちが「サイレイ、サイリョウ」と繰り返す声が響きます。夜空を焦がす大松明の火の迫力は圧巻です。
八所大明神
太鼓の合図で精進竹に張った注連縄(しめなわ)を切る「注連縄切りの儀」が行われると、八所大明神(はっしょだいみょうじん)、由岐大明神の神輿が神社から参道を下ります。
女性が神輿の綱を引く
女性が神輿の綱を引くのが、この祭りの特徴のひとつ。この綱を引くと安産になるという言い伝えもあります。ほかにも鞍馬での成人式の名残とされる「チョッペンの儀」などが行われ、翌23日の「還幸祭(かんこうさい)」で祭りは終了します。

1,000年以上の歴史がある由岐神社

天慶3年(940年)、天下泰平と万民幸福を祈念した朱雀天皇の詔によって、それまで御所にお祀りされていた由岐大明神が鞍馬の地に遷されました。神社には、国指定重要文化財で、子孫繁栄・子授け・安産の神様として信仰されている、日本で唯一子どもを抱いた狛犬を始め、400年以上前に建てられた国指定重要文化財の拝殿や、樹齢800年のご神木・大杉などがあり、一年を通じて数多くの参拝者が訪れています。

由岐神社
由岐神社は京都市中心部から北に上った、左京区に位置しています。凛とした空気に包まれた、天狗伝説の残る緑豊かな鞍馬の土地で、古くからたくさんの人たちの信仰を集めてきました。
割拝殿
拝殿は慶長12年(1607年)に、豊臣秀頼公により再建されたもの。中央に通路のある形式で荷拝殿、もしくは割拝殿と呼ばれていて、国の重要文化財にも指定されています。
ご神木
境内にあるご神木の大杉は圧倒的な大きさ。高さは約53メートル,樹齢800年以上と言われています。「大杉さん」として親しまれていて、昨今はパワースポットとしても人気を集めています。
[今回ご紹介した社寺仏閣]
由岐神社
住所 京都市左京区鞍馬本町1073
電話番号 075-741-1670
拝観時間 9:00〜15:00ごろ(社務所) ※新型コロナウイルス感染状況により変更の場合あり
https://goo.gl/maps/YCsCfEoBNrZDv5Q68