京に学ぶ「御田祭(おんださい)」

Update: 2021.06.30
#京に学ぶ

五穀豊穣を願い行われる「御田祭」

「お酒の神様」としても名高い松尾大社で、7月の第三日曜に行われるのが御田祭。五穀豊穣を願う歴史あるお祭りです。600年以上前の記録にも出てくる、歴史のあるお祭りで、その儀式は現在も昔の姿にのっとったもの。京都市の無形民俗文化財にも指定されています。

本殿で「五穀の豊穣」を祈る祭典が行われたあと、「かいばり(うちかけ)」を着て、花笠をかぶり、たすきをかけた植女(うえめ)と呼ばれる三人の童女へ宮司から早苗が授けられます。

植女は授けられた早苗を両手に持ったまま、壮夫(そうふ)の肩に乗って拝殿を三周します。その後、虫除け行事などが行われ、植女の持つ苗が撒布されると、見物人たちがこぞってそれを持ち帰り、田の虫除けにしたとも伝えられています。

「御田祭」は、明治以前には6月23日に、それ以降は7月23日に行われていましたが、昭和49年から現在の7月第三日曜になりました。

御田祭

醸造の神様としてたくさんの人に親しまれる松尾大社

京都市西京区にある松尾大社。正式な名前は「まつのお」ですが、「まつお」と呼ばれ、親しまれている場合も多いようです。「醸造祖神(じょうぞうそしん)」としても全国的に知られていて、日本酒や味噌、醤油などに関連する仕事に従事する人たちからも厚い信仰を集めています。境内には、ご神像21体が展示されている「神像館(しんぞうかん)」、素晴らしい景観を誇る「松風苑三庭(しょうふうえんさんてい)」、お酒の歴史や文化などについての展示を行っている「お酒の資料館」などもあり、一年を通じて、たくさんの人が訪れています。

※神像館、松風苑三庭の拝観には、庭園拝観料が必要

本殿
現在の本殿は1397年に建てられたもので、屋根に千木(ちぎ)・鰹木(かつおぎ)を置かず、箱棟(はこむね)の両端が唐破風(からはふ)で装飾された珍しい形式で松尾造りと呼ばれています。2018年、屋根の葺き替え工事も終わり、面目を一新しました。
お酒の資料館
お酒の資料館は入館無料。お酒の歴史や文化などがわかりやすく学べるようになっています。
全国から奉納された酒樽
境内に全国から奉納された酒樽がずらりと並べられているのも見どころ。
延命長寿の水
社殿背後にある亀の井から湧き出しているのが、延命長寿の水。別名よみがえりの水とも呼ばれています。開門と同時に汲みに来る人たちが後を絶ちません。
[今回ご紹介した社寺仏閣]
松尾大社
住所 京都市西京区嵐山宮町3
電話番号 075-871-5016
拝観時間 9:00〜16:00、日祝9:00〜16:30
https://goo.gl/maps/9jsCmF5XWFGtQCpd7