Vol.16 ヒミツの隠れ家カフェ その1

Update: 2022.04.26
#虫眼鏡さんぽ

隠れ家カフェ

千利休によって茶の湯が大成された京の都で花開いた、喫茶文化。街を歩いていると喫茶店やカフェをよく見かけます。今回は「ヒミツの隠れ家カフェ」をテーマに、隠れ家感たっぷりの京都のカフェをご紹介します。秘密にしておきたい気もするけれど誰かに教えたくなる、そんな素敵なカフェばかりです。

円山公園に潜む絶景カフェ【eXcafe 祇園八坂】

取材時は秋が深まりゆく時期で、京都の紅葉を愛でようと祇園の円山公園を歩いていると、池の向こうに木々に囲まれた2階建ての邸宅を発見。

日本家屋
木々の間に日本家屋が見えます
外観
場所は長楽館の東隣。山に向かう坂道の途中

eXcafe(イクスカフェ)祇園八坂
レトロモダンな暖簾に期待が高まります

こちらは「eXcafe (イクスカフェ)祇園八坂」という和カフェでした。オープンしたのは2021年の夏とのこと。

2階の席に案内していただくと……

2階席
大きな窓から明るい光が差し込む2階席

窓の外には真紅の紅葉!まるで一幅の絵画のような絶景が広がっていました。

お品書きを見てみると、コーヒーやカフェラテ、お抹茶といったドリンクから抹茶ロールケーキやぜんざい、わらびもち、パフェなどの甘味が並んでいます。迷った末、七輪を使って自分で焼くことができるという「ほくほくお団子セット」をオーダーしました。

景色
贅沢な景色が目の前に

椅子の上のクッションは京都のテキスタイルブランド「SOU・SOU」さんのものなんですね。
お団子セットが運ばれてくるまでの待ち時間は、店内に流れるお琴のBGMを聴きながら窓越しに紅葉観賞。なんて雅なんでしょう!

お団子セット
お待ちかねのお団子セットが到着

しばらくすると、お団子とお抹茶、炭火入りのミニ七輪が運ばれてきました。
お団子はよもぎとプレーンの2種。七輪の網の上に乗せてみると、お団子のいいにおいが立ちのぼります。焼き加減を見極めながら竹串をつまんで裏返し。お団子屋さん気分で楽しい!

みたらしダレ
まずは特製みたらしダレで
小豆
よもぎ団子はやっぱり小豆がよく合う

香ばしい焼き目がついたら、大粒の小豆か特製みたらしダレにからめていただきます。タレが選べるというのもいいですね。
焼きたてのお団子は、表面はパリッ、中はもちもち。よもぎのお団子は、温めることでいっそう風味がアップします。

セットで付いているお抹茶は、日本有数の茶どころ・宇治田原にある播磨園さんの特選有機抹茶。香り高いお抹茶は、お団子との相性も抜群です。
隠れ家感満点の和カフェで古都情緒を存分に味わえました。

今回は紅葉でしたが、紅葉が美しいということは、青もみじの頃も期待できそう。また、円山公園といえば桜の名所なので、お花見の休憩に立ち寄るのもいいかもしれませんね。


路地奥でほおばるキュートなおやつ【あまいろ コーヒーとたい焼き】

続いては、四条烏丸界隈を散歩。四条通の2筋南を走る仏光寺通を西へと向かうと……

仏光寺通
京町家の飲食店を発見

京町家の軒下の左側に、奥へとつづく細い路地が見えます。入口には「笑ろうじ」の名が綴られ、「たい焼き」の文字がひらひらと風に揺れています。

中へ
先客につられて中へ

路地
路地は想像以上の奥行き

ワクワクしながら路地を奥へ奥へと進んでいくと、築100年近くは経っていそうな町家の長屋に飲食店が数軒連なっていました。

あまいろ
たい焼きの看板を発見!

こちらのお店は、「あまいろ コーヒーとたい焼き」。寒さが身に染みる季節は、ホカホカのたい焼きに惹かれます。戸口から漂ってくる甘くて香ばしいにおいに誘われて中へ入ってみることに。

店内
レジの横で焼いておられます

たい焼きは「つぶあん」と「カスタード」、つぶあんとカスタードが両方入った「ミックス」の3種があり、つい欲張って「つぶあん」と「ミックス」のふたつをコーヒーとともに注文。

店内
カウンター席のほかテーブル席も

焼き上がるまでの待ち時間も甘いにおいに包まれて幸せな気分です。

たい焼きとコーヒー
まんまるなフォルムがたまりません

とってもキュートなビジュアルにテンションが上がります。向かい合わせで並べたり、一列に並べたり、写真を撮るのも楽しいひととき。
出来立てホカホカのたい焼きはふっくらしていて、パンケーキのよう。中には、あんやクリームがぎっしり。隠れ家感あふれる路地奥でたい焼きをほおばって、しばしほっこり。

看板
路地に置かれた看板

表の看板やたい焼きを包む紙には少年の姿が描かれています。この少年は日本史の教科書でおなじみの、島原の乱を率いた「天草四郎」。熊本県天草の商店街で長年愛されてきた「まるきん製菓」の看板メニューであるたい焼きを受け継いでおられることから、天草四郎がシンボルなのだそうです。


先斗町の路地で素敵なカフェタイム【mag】

お次は先斗町へ。木屋町通と先斗町通をつなぐ細い路地に入ってみます。

路地
木屋町通から大人ひとりが通れるほど狭い路地へ
路地
先斗町通側から見るとこのような雰囲気

路地のなかほど、木屋町通や先斗町通を歩くだけではぜったいに気づけない奥まった場所にカフェがありました。これぞ隠れ家カフェの極み!

mag
看板が出ているので開いてる模様

お店の名前は「mag」さん。傍らの黒板を見ると、「季節のお菓子」はレモンとカルダモンのケーキ、「定番のお菓子」はオレンジとクローブのブラウニー、グラノーラのパフェ、チーズケーキ、ガトーショコラと綴られています。

店内
カウンターは美しい一枚板

中に入ると、カウンターで女性店主がお菓子を作っておられました。最初にお品書きを見てレジでオーダーを済ませます。ドリンクメニューは珈琲がメインで、京都の焙煎所の豆を仕入れておられるそうです。この日はカフェラテとチーズケーキをオーダー。

店内
席は好きな席を選べます

2階にはテーブル席のほか、靴を脱いで上がる畳敷きの席やテラス席も。

ラテアート
思わずわぁ~♪と歓声をあげてしまいました

テラス席から路地や周辺の景色をのんびり眺めていると、目の前にカフェラテとチーズケーキが運ばれてきました。カフェラテの器の中で、2022年の干支の「寅」が微笑んでいます!!飲んでしまうのがもったいないほどの可愛らしさです。飲み進めていっても寅の姿がきれいに残っていて、ラテアートの技に感動。

チーズケーキ
チーズケーキはアイスクリーム付き

チーズケーキは、濃厚だけれどレモンの酸味がきいて後味さっぱり。ラテとの相性もぴったりで、ひと口ごとに幸せな気分に包まれます。

ラテやスイーツはもちろんのこと、特筆したいのが器の素敵さ。ラテの器は持ち手がなく抹茶茶碗のように両手でいただくタイプ。手にすっとなじむし、あたたかみのある表情に魅了されます。ケーキの平皿も控えめながらどんなスイーツや料理も引き立ててくれそうな洗練されたデザイン。店主自から全国各地に足を運んでセレクトされているそうです。

和モダンな空間は、木のぬくもりが感じられて居心地抜群。路地裏のカフェで街の喧騒から逃れて静かなひとときを過ごせました。
※お店のルールでは撮影は3枚までですが、許可をいただき撮影しております。


円山公園隣のカフェから街なかや花街の路地まで。どのお店もアクセス便利なエリアにありながら、ちょっと奥まったところに静かにたたずんでいるのが魅力です。
日々の喧騒からのがれて、とっておきのカフェタイムはいかがでしょう。


今回の虫眼鏡スポット(Google map)