Vol.15 かわいい和雑貨さがしさんぽ その1

Update: 2022.03.23
#虫眼鏡さんぽ

和雑貨さがしさんぽ

以前特集した「買って帰りたくなる専門店さんぽ」では、毎日の暮らしに彩りを添え、心を豊かにしてくれるアイテムを探しました。歩いても歩いても素敵な専門店との出会いはまだまだ尽きそうにありません。続編の「かわいい和雑貨さがしさんぽ」第一弾では、祇園から河原町エリアを散歩。「よーじや 祇園店」「石黒香舗」「nanaco plus+」、3つの魅力的な専門店をご紹介します。

京の美意識を支えるよーじや

老舗が集う祇園を歩いていると、「よーじや 祇園本店」がありました。

ロゴマーク
おなじみのロゴマークがお出迎え
よーじや 祇園本店
女性客が次々に吸い込まれていきます

つられて中に入ってみることに。

あぶらとり紙
舞妓さんも愛用しているというあぶらとり紙

店内には、おなじみのあぶらとり紙をはじめ、スキンケアやヘアケア、メイクアップ、フレグランス、化粧雑貨まで「美」を叶えてくれるあらゆるアイテムが並んでいました。
焼ショコラやお抹茶サンドなどお菓子まであり、バラエティに富む品ぞろえ。

よーじやさんの創業は、1904(明治37)年。歌舞伎や京舞など伝統芸能や文化が根付く土地柄、大八車を引いて舞台化粧道具を売り歩くことから商いをスタート。歯ブラシが人気を得て「楊枝屋さん」と呼ばれていたのがいつしか正式名称に。

看板商品のあぶらとり紙が誕生したのは今から101年も前のこと!京都の美意識を陰ながら支えつづけてこられた存在なのですね。

リップクリーム
「ゆず艶や」というリップクリームも

よーじやの2代目が考案されたという現在のロゴマークの看板娘は、手鏡に映る京乙女がモチーフ。スタッフさんたちは「よじこ」と呼んでおられるそうです。なんだか親しみがわいてきますね。

2階には昨年夏のリニューアルで新設されたという「体験コーナー」もありました。混雑時を除いて事前予約不要ですべての商品を試すことができると聞き、体験させていただくことに。

紙せっけん
1枚1枚エンボス加工がほどこされた紙せっけん

「紙せっけん」を手のひらにのせて水をふくませると、素早く溶けてクリーミーな泡に変化。お肌にやさしいので、洗顔にも使用できるそうです。軽くてかさばることもない紙製の石鹸、ポーチに常備しておくと便利ですね。

伝統色のパレット
美しい伝統色のパレットにうっとり

メイクのコーナーでは、スタッフの方が日本の伝統色のパレットのなかから毎月色をピックアップしておすすめメイクを提案してくださいます。

さつまいもメイク
遊びごころを込めつつ本気の「さつまいも」メイク

来店時は11月だったので、メイクのテーマは「さつまいも」。過去には「かぼちゃ」や「おしるこ」、「さくら」なども提案されたそう。季節に寄り添う粋な遊びごころも素敵ですね。


日本唯一の匂い袋の専門店。石黒香舗

続いては、三条通へ。松ぼっくりを手にしたリスや山もみじなどちりめん製のかわいらしい置物が並ぶ町家のショーウィンドウに目が留まりました。

石黒香舗
趣のあるたたずまいが目を引きます
ショーウィンドウ
はんなりとした雰囲気が漂うショーウィンドウ

引き戸を開けると、奥ゆかしい香りがふわり。
こちらは、江戸時代後期の1855(安政2)年創業の「石黒香舗」さん。ひとつひとつ手作りされている匂い袋を扱う、匂い袋の専門店では全国唯一のお店。

にほひ袋
にほひ袋を作っていただきました

お店の奥では、西陣織や京友禅製の小さな袋と紐、香りを選んでオリジナルのにほひ袋を作ってもらえます。その場で香木のチップをつめてくれるのですが、芳香に包まれて優美な気分に。

袋の中に入れる香りは4種類。有名なのはお寺に漂う香りでおなじみの「白檀(ビャクダン)」。残り3種は天然香木約10種を調合したもので、清涼感のある「並香」、お香独自の甘さのある「特製香」、四川チベットに住む雄のジャコウ鹿から採取するジャ香(ムスク)をプラスした「極品香」。ジャ香は希少価値の高い天然香料で、誰もが知る一流ブランドの香水にも使われているそうです。

巾着タイプ
巾着タイプの小さなにほひ袋。柄を選ぶのも楽しみ

「にほひ袋」といっても、巾着からストラップ、インテリアになる置物、衣装ケースに入れる防虫香までさまざま。

防虫香
人気の防虫香。レトロな雰囲気のパッケージも素敵

たとえばこちらの防虫香。人間にとっては良い香りなのですが、虫にとっては近づきたくない、そんな特性を生かしているのだそうです。昔の人々の知恵に思わず感服。

布香合
手のひらサイズの愛らしい「布香合」

「布香合」は、もとはお坊さんがお香を入れて持ち歩いていたアイテムだそう。フタをひねるとニョキッと伸びて開くユニークな作りになっています。アクセサリーやクリップなど小物入れとして重宝してくれそうです。

寅のモチーフ
2022年が寅年なのにちなんで寅のモチーフもたくさんありました

香りには心身を清める、という意味も。暮らしに「香り」を取り入れて、清らかな心持ちで日々と向き合いたいものです。


本物の飴がアクセサリーに。nanaco plus+

続いては、新京極通と裏寺町通間の、柳の木が寄り添う石畳の路地「柳小路通」へ。

柳小路通
柳の枝が風に揺れて風情たっぷり

インテリアショップや居酒屋、肉料理店、カレー専門店などさまざまなお店が軒を連ねるなか、目に留まったのが「nanaco plus+(ナナコプラス)」さん。

ナナコプラス
落ち着いた路地に彩りを添えています

小さくてカラフルなチャームがたくさん並んでいて、思わず店内へ。手に取って見てみると、透明な樹脂のなかは飴みたいで、食べたくなってしまうほどリアル!
代表の三谷さんにお話を伺うと、なんと、「飴みたい」ではなく飴づくりの職人さんによる本物の飴だそうです。

瓶・アクセサリー
左の瓶の中の飴が、右のアクセサリーに変身
リング
バリエーション豊かなリング。眺めているだけで心が弾みます

店内
お店の一角でパーテーションのような役割も

どこを切っても模様がでてくる、あの「金太郎飴」をはじめ、「てまり飴」、虹色の「ベビー風車」、「京飴」など、昔懐かしい飴ばかり。
同じデザインでもひとつひとつ形や表情が少し異なるのは、本物の飴だからなんですね。

シャンデリア
天井を見上げるとシャンデリアが!

チャームを光にかざすと、キラキラと輝いてまるで宝石のよう!
天井を見上げると、毎月季節にあわせてスタッフさんが作っておられるというシャンデリアも煌めいていました。かわいい飴が毎日身に着けられるアクセサリーやインテリアに変身するなんて!おとぎ話のような世界に夢心地になれました。

チャーム
カメラのシャッターを押す手が止まらなくなりそう

17年ほど前に京都の老舗和菓子店のお干菓子を再現してチャームを作ったのがお店のはじまり。後継者問題により年々減少していく日本の手づくり飴屋さんの伝統を絶やしたくないという思いと、日本の四季を大切にしたいという思いを込め、本物の飴入りのチャームやオリジナル飴の開発のほか、近ごろはアニメとのコラボもされているそう。
日本の伝統を、誰もが子どもの頃から親しんできた「飴」を通して次世代に伝えていく、という着眼点と発想が素敵です。

江戸時代から平成のお店まで。誕生した時代はそれぞれ異なりますが、きっとこれからも未来に向けて伝統を紡いでいかれることでしょう。


今回の虫眼鏡スポット(Google map)