Vol.12 買って帰りたくなる専門店さんぽ その1

Update: 2022.02.17
#虫眼鏡さんぽ

専門店

虫眼鏡さんぽでは、以前、レモン料理専門店、梅酒作り専門店、クリームパン専門店、缶詰専門店の4つのすてきでしかも美味しい専門店めぐりをしました。
今度は、グルメ系ではなく、布や紙などを生かした普段使いできるアイテムを扱う専門店を探してみました。「買って帰りたくなる専門店さんぽ」第一弾は、河原町通界隈です。

カラフル&ポップな履物にひとめぼれ。SOU・SOU足袋

スタートは四条河原町。西側の路地裏を歩いていると、個性的な外観のお店に出会いました。オリジナルテキスタイルの和装ブランド「SOU・SOU」の足袋専門店「SOU・SOU足袋」です。

外観
つい中に入ってみたくなる、唯一無二の意匠

店内には、つま先が親指とその他の指のふたつに分かれている靴下のような足袋「足袋下」や地下足袋、布草履、スリッパ足袋まで、カラフル&ポップな履物がいっぱい並んでいました。

足袋下
足袋下。ひとつひとつ手にとってみたくなる

試着用の椅子
試着用の椅子も個性的

「おしゃれは足元から」という昔からの言葉を思い出します。お気に入りのアイテムを履いて出かければ、足取りも軽くなりそうです。

スタッフさん
SOU・SOUファッションを着こなすスタッフさん

SOU・SOUファッションをまとったスタッフさんが「足袋下には左右で柄が続いていたり、左右あわせてひとつのストーリーになったりするものもあるんですよ」と教えてくださいました。いまの季節に履きたいデザインから、季節を問わず履けそうなデザインまで、なんと、ラインナップは100種類を超えるそうです。
以前プレゼントで足袋下をいただいたことがありますが、綿素材だから肌触りもよく、丈夫で履き心地も抜群でした。

吹き抜けのオブジェ
吹き抜けの開放的な空間にオブジェが映える

色づかいやカタチは新しいけれど、数字のモチーフだったり(シリーズ名は「SO-SU-U(ソスウ)」)、伝統文様だったり日本の花鳥風月だったり。ふだん私たちの暮らしのそばにあるものばかりだと気づきました。メイドインジャパンの和モダンなアイテムたち。手にとるほどに、眺めるほどに、 SOU・SOUワールドに魅了されます。

「SOU・SOU足袋」の近くには、和服、袋もの、子ども用品などテーマごとSOU・SOUさんの専門店が点在していて、SOU・SOUストリートと呼びたくなるほど。今度はゆっくりと各ショップをめぐろうと心に決めて、次へ向かいます。


絵本の世界に迷い込んだようなHIRAETH

お次は河原町通を北上。通りの西側にすてきなお店を発見しました。

外観
右側の小さな木の扉は何のため?空想するのも楽しい

壁には「HIRAETH(ヒライス)」と書かれています。
白い壁、淡い水色がふちどるアーチ形のエントランス。まるで絵本の世界に迷い込んだかのように印象的なたたずまいです。

看板
通り沿いにこんな看板も

外観に見惚れていると、建物の手前に置かれた「スイミーあります。」の看板が目に留まりました。スイミーってあのレオ・レオニ作の世界的絵本『スイミー』??これはもう、通り過ぎるわけにはいきません。木の扉を開けて中へ。

店内
ペーパーアイテムがいっぱい!

木のぬくもりを感じるナチュラルな空間に、便箋や一筆箋、メモ帳、マスキングテープ、ポーチ、食器……乙女ゴコロをくすぐるアイテムがずらりと並んでいました。
お店の方に伺うと、こちらは京都の老舗文具メーカーが展開する文具ブランド「コジカプロダクツ」のアンテナショップとのこと。新旧の作家さんの作品をモチーフにした商品や、作家さんとコラボアイテムを制作しておられます。

さて、気になるスイミーはどこ……?

スイミー
スイミー、ありました!

「スイミー」のグリーティングカードは、「レーザーカット」というすぐれた加工技術により、小さな魚たちが一致団結して大きな魚に立ち向かう、物語のハイライトシーンを細やかに表現しているそうです。封筒を開けてこんな素敵なカードが出てきたら、歓声を上げてしまうかも。

フレデリック
フレデリックも!

「スイミー」だけでなく、「フレデリック」のシリーズも並んでいました。
あらためてレオ・レオニにいついて調べてみると、オランダに生まれ、イタリアやアメリカで活躍された絵本作家&イラストレーター。今はもうこの世におられませんが、コラージュや油彩、水彩、クレヨン、色鉛筆などさまざまな技法を駆使して、子供も大人も目を輝かせる素敵な絵本をたくさん残してくれた偉大な方。

ブロックメモ
ブロックメモも他では見られない種類の豊富さ

エリック・カールの「はらぺこあおむし」など、小さいころに大好きだった絵本のキャラクターもあって、可愛らしさと懐かしさで幸せな気持ちに包まれました。
2階では、作家さんの個展が開かれていました。アート鑑賞もお買いものも、一緒に楽しめるのがうれしいですね。


バラエティに富む紙アイテムの宝庫。鈴木松風堂

HIRAETHを後にして、今度は柳馬場通を南下。和モダンな京町家が目に留まりました。

外観
パープルカラーの暖簾が高貴な雰囲気

軒下のまるい看板に綴られている文字は「紙乃和雑貨 鈴木松風堂」。明治26年創業と書いてあります。

カエルさん
カエルさんがお出迎え。よくみたら紙でできています
店内
京町家らしく奥行きのある店内

のれんをくぐると、広々とした店内に紙雑貨がたくさん並んでいました。

和本
和本も種類豊富
お茶缶
ティータイムが心豊かに過ごせそうなお茶缶

お道具箱、ご朱印帳、47都道府県すべてのご当地柄がそろう角皿といった正統派の紙アイテムから、パスタケースやボールペン、万華鏡など「これも紙⁉」と思うような意外性のあるものまで、バラエティに富んだ商品が並んでいます。

小箱
手のひらサイズの小箱

型染紙
しなやかに壁を彩る型染紙

なかでも惹かれたのは、京友禅の技法をもちいたという「型染紙」。ひとつひとつよく見てみると、草木や花、水玉、縞、格子など伝統文様がベースだけれど、色づかいやデザインがとってもモダン!
糊は色が染まらないという特性を生かし、型に糊をのせて色を重ね、洗って、乾燥させて、という工程を経て、ようやく1枚の型染紙が出来上がるのだそうです。

白い和紙
シンプルな白い和紙も

空き箱に貼ったり、ブックカバーや封筒を作ったり、カットして額に入れたり……アレンジは自由自在。どんなふうに使ったら楽しいかなとアイデアがふくらみます。

つるんとしていて便利な洋紙もいいけれど、和紙ってしっとりとやさしい風合いで、手にしているだけでなごめることも魅力かもしれません。
表紙・裏表紙やとじ紐を好みの色柄から選んで和本を仕立てるワークショップも開いておられるそうです。

なにげない日々に彩りを添えてくれる紙や布のアイテムにたくさん出会えました。歩くほどに、知るほどに、惹かれていく京都の街。専門店さがし、まだまだ続きます。


今回の虫眼鏡スポット(Google map)