Vol.9 すてきな専門店

Update: 2022.02.04
#虫眼鏡さんぽ

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京都の街を歩いていると、お茶、豆腐、味噌、漬物、京飴、チョコレート……書き尽くせないほどの「専門店」が存在していることに気づかされます。食にまつわる専門店から、紙やお箸といった暮らしに欠かせない日用品の専門店まで、さまざま。
今回は、街で出会ったおいしくてすてきな専門店を4軒クローズアップしてみます。

<レモン料理専門店>カプリ食堂

今回の「すてきな専門店」さんぽは、ランチからスタート。地下鉄・五条駅から3分ほど、烏丸通に面した「カプリ食堂」へ。

カプリ食堂
地中海にあるカプリ島の食堂がコンセプトとのこと

こちらのお店のご専門は、「レモン料理」。メニューを見てみると、レモン唐揚げ、レモンマルゲリータピッツァ、レモンラーメン、レモンオニオンソースのローストビーフ丼など、メニューのすべてにレモンが見え隠れしています!

レモンは、すべて国産。広島にある「レモン島」こと生口島の低農薬・ノーワックスのものを契約農家から直接仕入れているのだそうです。
迷った末に注文したのは、「レモンカルボナーラ」。

レモンカルボナーラ
レモンを搾っていただきます!

カルボナーラの濃厚さもありながら、後味はレモンならではのジューシーさと爽やかさ。
ホワイトソースに自家製塩レモンを忍ばせて仕上げたパスタに、レモン汁をぎゅぎゅっと搾り、スライスレモンをトッピングしているのだそうです。

レモンスカッシュとレモネード
レモンスカッシュとレモネードでカンパイ
きまぐれパスタ
レモンカルボナーラセットは野菜たっぷり

ランチのセットメニューはいろいろありますが、今回選んだのは、メイン料理のほか、スープ、前菜3種とサラダ、ドリンク、バニラアイス付。ボリューム満点だけれど、レモンが効いていて最後までさっぱりといただけました。

スタッフ ほのさん
レモンを手に爽やかスマイル

食後、スタッフをされているほのさんにお話を伺いました。爽やかな笑顔にレモン柄のバンダナ、レモン色のTシャツがとても良く似合っておられます。
指先には赤いネイル。「レモンの黄色が映えるようにネイルは赤や緑にしているんですよ」とにっこり。

レモン愛が満ちあふれる一軒。太陽のようなレモンカラーに元気をもらって、レモンの酸味と清々しい香りでリフレッシュ。幸せなランチタイムとなりました。


<梅酒作り専門店>蝶矢 京都店

お次は、烏丸通を北上して六角通を東入ル。
事前予約していた「蝶矢 京都店」での梅体験の時間を迎えました。

蝶矢 京都店
六角通に面したガラス張りのお店

こちらのご専門は、「梅シロップ&梅酒作り」。
100通りもの組み合わせの中から自分好みの梅シロップや梅酒がカンタンに作れるというので興味津々です。

奥の白い壁には梅シロップを仕込んでから一週間でどう変化していくかがわかるよう、時系列でガラスボトルが展示されていました。アートギャラリーのような空間です。

ガラスボトルの展示
手前から向こうへ、梅ドリンクの変化が一目瞭然

梅コンシェルジュさんが「梅体験」をレクチャーしてくれます。
まずは、ガラスボトルのサイズをS・M・Lの3種から選びます。次に主役の梅選び。

5種の梅のサンプル
5種の梅のサンプル。品種がこれほどあるとは!

品種の異なる梅を使って作った5種の梅シロップをひと口ずつ試す「きき梅」を体験しました。
たとえば、「白加賀」は梨、「完熟南高」は桃、「パープルクイーン」はさくらんぼのような香り。品種によって香りも風味がまったく異なることに驚きです。梅はバラ科サクラ属とのことなので、さくらんぼの香りがするというのはちょっと納得。

梅と合わせる砂糖は「てんさい糖」、「こんぺい糖」、「氷砂糖」、「はちみつ」「有機アガベシロップ」の5種。シロップで「きき砂糖」を体験します。
梅と砂糖、それぞれ好みの1種を決めたあと、梅酒の場合はお酒の種類も選びます。

さくらんぼ風味のパープルクイーンと金平糖
さくらんぼ風味の「パープルクイーン」と金平糖をチョイス

いよいよ梅シロップづくり。梅のヘタを取って砂糖と交互にボトルの中に重ねる、というとてもシンプルなもの。あっという間に仕込みが完成です。

組み合わせ
組み合わせによってボトルの景色もさまざま

自宅に持ち帰り、梅シロップのボトルを一週間、毎日ゆっくりまわして混ぜ、大切に「育てる」と、次第に梅と金平糖が溶けていき、「パープルクイーン」の特徴である赤みの美しいシロップが出来上がり!ちなみに、梅酒はじっくり1か月、待っている時間も楽しみがありますね。
おいしさはもちろんのこと、日本の伝統食「梅」の奥深さにふれられたことにも感激。貴重な体験ができました。


<クリームパン専門店> キンイロ

「蝶矢 京都店」からさらに北上。三条富小路の角地に小さなお店があることに気づきました。

キンイロ
お店の場所は三条富小路の南西角

「キンイロ」という名の、クリームパン専門店。パンの専門店なら巷にあふれているけれど、専門分野を「クリームパン」にまで絞り込むとは! うれしくなって4種テイクアウトしてみました。

専用ボックス
遊びゴコロのある専用ボックスにもご注目
金色/黒色/檸檬色/京抹茶
左から、「金色」「黒色」「檸檬色」「京抹茶」

こちらのお店を展開するのは、同じ建物に入居するはちみつの老舗「ミールミィ」。クリームパンには、ミールミィがセレクトしたはちみつが練り込まれています。
「金色」は、ブルーベリーはちみつ入りクリームのシンプルなクリームパン。
「黒色」は、ブラックカカオのパン生地のなかに、濃厚な卵のカスタード、そしてコーヒーの花から採れたコーヒーはちみつを練り込んだカスタード、2層のクリーム入りです。
金箔もゴージャス。
期間限定「檸檬色」は、レモンはちみつ入り。「京抹茶」は、ハンガリー産アカシアはちみつ入りの抹茶クリーム入り。

断面
見てください、この断面美!

中はクリームがすきまなく詰まっていてテンションも上がります。頬張ると、ほんわりとはちみつの香りが広がりました。
パンは、クリームとぴったりのふんわり感。手みやげにしたら喜ばれそうですね。

170種以上の国内外のはちみつ
ミールミィ店内には170種以上の国内外のはちみつが並ぶ

<缶づめ専門店> ひとかん

お次はふらりと寺町通へ。「ひとかん 京都本店」というお店に出会いました。

ひとかん 京都本店
場所は寺町六角を少し下がったところ

店内写真
箱や缶が整然と棚に並ぶ

こちらは、缶詰の専門店。ぐるりと見渡すと、スーパーやコンビニでは出会わないような缶詰ばかり。50種ほど揃うそうです。
お値段をちらりと見ると、数百円のお手頃なものから、1万円超の松葉ガニの缶詰まで(!)さまざま。カニは一匹分のむき身が入っているそうです。缶のフタ開けるというひと手間だけでカニをまるごと堪能できるなら、コスパ抜群かも。

パッケージ
デザイン性の高いパッケージも素敵

こちらのお店では、日本各地の生産者さんからの依頼で、レシピを開発。提携工場で機械生産ではなくひとつひとつ手詰めで仕上げるのだそうです。
こうして作り手の想いも新鮮なままギュッと閉じ込められているのですね。
缶を開けたらその土地の景色まで浮かんできそうです。

パッケージ
贈り物にも喜ばれそうなパッケージ

どれにしようか迷ったのち、4つをチョイス。
写真右上から時計回りに、「宮津湾タコのアヒージョ」、「鹿肉の欧風スパイス煮込み」、「サーモンの昆布オイル煮」、「青春アヒージョ ハーブへしこのオイル煮 」です。

パッケージ
パッケージ写真とは並び順を変えています

缶のフタを開けると、こんな感じ。
ワインにも日本酒にも合う! 薄くスライスして焼いたフランスパンにのせても合う! 缶詰の概念を越えて、もはや一品料理の味わいでした。
宅飲みブームなこのごろ、なにかと重宝しそうです。

この日めぐった4つの「専門店」。どのお店にも商品への自信とあふれんばかりの愛情が感じられました。
千年の都、京都。長い歴史のなかで食文化が研ぎ澄まされてきたのは、ひとつひとつのお店の情熱があってこそなのかもしれない、そんなことを感じた専門店さんぽでした。


今回の虫眼鏡スポット(Google map)