Vol.2 干支さがしさんぽ 宇治篇

Update: 2021.04.20
#虫眼鏡さんぽ

街なかに隠れた動物たちを探して歩く「干支さがしさんぽ」。
第二弾は、「卯」「辰」「巳」を求め、宇治へと足を延ばしました。
抹茶の聖地として知られる宇治ですが、実は『あの動物』との意外なつながりが。

卯(うさぎ)
宇治川ほとり。うさぎ尽くしのふたつの神社

スタートはJR宇治駅を下り、老舗の茶舗が点在しているメインストリートの宇治橋通から。
食料品や日用品店などが軒を連ね、地元の人も行き交う商店街。どこか昔なつかしい雰囲気も漂います。

宇治橋通の茶舗。時を経た建物が味わい深い。

老舗の茶舗が点在し、趣ある店構えからも茶どころらしい風格と歴史が感じられます。
宇治橋を渡った左手にある京阪宇治駅のターミナルで、鳳凰をのせた珍しい電話ボックスがありました。ここ宇治は、世界遺産・平等院が建つ地でもあるのです。10円玉で親しまれる平等院鳳凰堂の、あの鳳凰ですね。

京阪宇治駅前の電話ボックス。思わず使いたくなります。

宇治らしい景観を楽しむべく、ぐるっと散策することに。お茶を焙じる香りがどこからともなく漂う平等院表参道を歩くと、抹茶団子や抹茶パフェ、抹茶蕎麦に抹茶たこ焼きまで!趣向を凝らしたご当地グルメのお店が建ち並び、旅気分が高まります。朝霧橋を渡ると、対岸に大きな鳥居が見えてきました。宇治神社への入り口です。

朝霧橋と宇治神社、フォトジェニックな朱塗りの競演。
朝霧橋。宇治川を見下ろすと、流れの速さがよくわかります。

宇治神社のご祭神は、菟道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと)。学問の祖神であることにちなみ、ご本殿前にはくぐると智恵を授かれるという稲穂の「智恵の輪」が設けられていました。智恵の輪の奥にあるお賽銭箱の上に小さな白うさぎを発見!
神様に失礼のないよう、ご本殿内部の「みかえりうさぎ」の撮影は控えました。

宇治神社ご本殿。「智恵の輪」をくぐってご利益アップ。

「みかえりうさぎ」は人びとを正しい方向に導いてくれる存在なのだとか。その昔、うさぎが、ご祭神を道案内したというエピソードに由来するのだそうです。

絵馬にもみかえりうさぎが描かれていました。

手水舎にもうさぎの姿が見られました。うさぎの口からお水が…!

続いては、宇治神社のすぐ近くにある宇治上神社へ。

堂々とした佇まいの宇治上神社の鳥居

鳥居をくぐり進んでいくと授与所があり、カラフルなうさぎのおみくじが目に飛び込んできました。

宇治上神社のおみくじ。上目遣いにキュンときます。

宇治上神社は京都に17ある世界遺産のひとつ。こぢんまりとした境内は、豊かな緑に囲まれ、神々しさに満ちています。ご本殿(国宝)は平安時代後期に建てられたという、なんと日本最古の木造神社建築。こちらに祀られているのは、先ほども登場した菟道稚郎子命のほか、その兄の仁徳天皇、お父さんの応神天皇の、応神ファミリー三柱です。

ご本殿は二重構造。3つの内殿がひとつの建物に覆われている。

宇治神社と宇治上神社が建つ界隈は、菟道稚郎子命の宮殿があったと伝わります。このことが、「菟道(うじ)」→「宇治」の地名の由来となったそうです。宇治の地で「うさぎ」をお祀りしているのは、氏神様にゆかりがあるからなんですね。

続いては、さわらびの道を進み、住所の一部に「菟道」の文字が見られる三室戸寺を目指します。

マンホールや案内表示も宇治らしさが漂う風雅なデザイン。

場所:宇治神社/宇治上神社
詳しい情報は今回の虫眼鏡さんぽスポット(Google Map)


辰(たつ)
こんなところに!な龍を発見

続いて、辰を探しに、宇治上神社から徒歩20分ほどで西国三十三所観音霊場の第十番札所、三室戸寺に到着。紫陽花が有名なお寺です。山ふもとに広がるスケールの大きなお寺です。
受付を済ませ、凛とそびえる杉木立を眺めながら参道を上がっていきます。耳を澄ませば爽やかな鳥のさえずりが聞こえてきて、心が和みます。長い石段を上がった先に、ようやく本堂が見えてきました。

手前が本堂で、山を背にそびえる三重塔も絵になります。

本堂を見上げると鋭い眼光の木彫りの龍を発見!

本堂の蟇股にはと龍の姿が。思わず背筋が伸びます。

お寺の天井などでよく龍の姿が見られるのは、龍が仏法を守護することからなのだそうです。


これは巳(へび)?
謎の石像が鎮座しています・・・。

本堂のそばでは、お顔がご老人、体が蛇の姿をした、摩訶不思議な石像を発見!こちらの石像は、「宇賀神」といって、耳にふれると「福」、ヒゲをなでると「健康長寿」、しっぽをさすると「金運」のご利益があるのだそう。

ご利益なんでもござれ、な宇賀神。

境内をぐるぐると歩いていると、本堂の前には、牛やうさぎの石像も発見!三室戸寺はまさに干支さがしさんぽのワンダーランドです!
境内をぐるりと見渡すと、牛やうさぎの石像も!三室戸寺はまさに干支さがしさんぽのワンダーランドです。

写真左が福徳兎、右が勝運の牛。

「福徳兎」は、菟道稚郎子がこの地を訪れた際にうさぎが道案内したという伝説に由来するもの。球体の中に手を入れ、中にある卵型の石を立てられれば願いが叶うそうです。「勝運の牛」は、牛の口の中の玉をさわると勝運が得られるのだとか。

夏は1万株もの紫陽花が咲き誇ることでも有名な三室戸寺。ハート形の紫陽花を見つけると恋が叶うそうで、それにちなんだハート形の絵馬もありました。

ハート形の絵馬が鈴なりに掛けられていました。

風光明媚な宇治でのさんぽはこれにて終了。次は季節を変えてまた訪れたくなりました。

場所:三室戸寺
詳しい情報は今回の虫眼鏡さんぽスポット(Google Map)

今回の虫眼鏡スポット(Google map)